JJ レディック X ジャマール・クロフォード
|毎回楽しみにしているJJレディックのポッドキャスト。LACのプレイオフ敗退が決まった翌日にジャマール・クロフォードが出演した回を翻訳した。
毎回おもしろいゲストからここでしか聞けないような話が聞けるので愛聴しているJJレディックのポッドキャスト。5月2日の回ではプレイオフ敗退が決まった翌日なのにも関わらず、チームメイトのジャマール・クロフォードを招いて語り合った。
元のポッドキャストエピソードはこちら。
JJ) JJ レディックの The Vertical ポッドキャストへようこそ。このポッドキャストを始めるにあたって今回の収録は今年一番難しいものになるだろうと気付きました。今これを録ってるのが土曜日の朝。昨晩ポートランドで試合があって。ボロボロになりながら闘って勝利を手にするかと思いきや、俺たちのシーズンは終わった。今日はチームメイトであり、友達でもあり、今年のシックスマン賞受賞者のジャマール・クロフォードが来てくれてます。ジャマール、今日は来てくれてありがとう。
JC) バッブズ!バッブズって言っても聞いてる人は何のことかわからないね。いやぁ、お前のためならなんだってやるよ。
JJ) (笑)
JC) なんか変な感じだよな…俺らにとってもチームにとっても。なんとも言えない。
JJ) 君の視点から昨日の俺らのロッカールームの状況を説明してくれないか?ほら、ドックのミーティングやメディアが入ってくる前の、選手だけで、シーズンが終わったんだとわかった時の。
JC) あんなに感情が入り混じったロッカールームは見たことなかった。だって思ってもみなかったようなやつらが泣いたり… 全部出てきた感じだった。なんというか、全部。文字通り血と汗と涙をあのコートの上に置いてきたんだ。すごかったのが、みんながみんな同じ気持ちだったんだよな。だから部屋中がそんな感じになって… ポール・ピアースみたいなやつが泣いてるのを見るのは今でも本当に言葉にならないね。だってチャンピオンシップを勝ってきたような選手だぜ?
JJ) そうだな。
JC) 彼が泣いてるのを見て、他のやつらも泣いてて… それでドックやスティーブ(バルマー)も… 彼らも言葉をつまらせててさ。なかなかないよね。
JJ) シーズンの全てを頭の中で整理するのにはしばらく時間がかかるよな。でも俺も昨晩は君と似たようなリアクションだった。シーズン全体を通して感情のジェットコースターみたいだったからね。
JC) うん。
JJ) 本当そうだった。
JC) マジで。
JJ) だって中国の時点ですでに…
JC) そう!
JJ) 新しい人や個性をまとめたり、ブレイクの怪我… もちろんブレイクとクリスがゲーム4で怪我したのだって。で、俺は個人的に、もしかしたらその時々の感情を押し殺していたのかも、と思ったんだよね。
JC) うん。
JJ) 他のやつらも似たように感情を押し殺してきたんじゃないのかな。シーズン中ずっと。それが昨晩全て表に出た。
JC) そうだな。
JJ) ロッカールームに戻ったら全部…
JC) 全部出てきた。
JJ) 全部一気にね。多分4番か5番目くらいにコートを離れたんだけど、ロッカールームに戻ったらすぐに一人にならないと、って(笑)。ドックが入ってくる時にはロッカールームにいたいと思ったけどまだ時間がかかりそうだったから、5分、10分ほどひとりでトイレの個室にこもって、ただそこに突っ立ってた。色んな想いがあふれてきてさ。君も戻ってきて、みんなが泣いてるのを目撃した。俺は…君もそうだと思うし、これについてはもっと後で話すけど、俺はシーズンが終わって泣いてるやつらがいるロッカールームも、そうでないロッカールームも両方経験してる。全員が同じ気持ちになるっていうことは、そのグループの絆の強さの表れだと思う。
JC) 本当にそうだよな。俺たちはみんなタフだったよ。シーズンを通して立ち向かってきたことを考えると。お前が言ったように、はじめっからね。中国で新しく入ってきたやつらを取り込もうとしてたら、そいつらがクリスと衝突して…
JJ) 君は怪我したし。
JC) ああ。
JJ) オースティンも怪我。
JC) オースティンも怪我したな。
JJ) 中国で歯が折れた。
JC) そこへラマー(オドム)のニュースが飛び込んできて…
JJ) そうだった。
JC) 中国にいて、試合の直前に…
JJ) 2試合目の直前だった。なんというか… 俺たちはラマーが亡くなったんだと思ったんだよね。そういう速報を聞いて…
JC) ああ、その時は信じたよな。で、そのまま試合しなきゃいけなかった。本当に直前に…
JJ) 試合の20分前くらい?
JC) コートに出る15、20分前だったよね。だからお前が言ったように、(昨日は)シーズンの最初から今までの全部の感情が出たような感じだったね。昨日の夜なんて、あのあと飛行機で窓の外を眺めてたら涙が出てきてさ…(笑)
JJ)(笑)
JC) もう泣けてきて(笑)!
JJ) うん…
JC) 俺はそんなに感情的な方じゃないんだけど、言った通り、全部出てきたんだろうね。
JJ) みんなに分かるように言うとさ、俺たちはゲームをしてるわけなんだけど。バスケットボールは根本的にはゲームだ。でも現実のNBAは、俺たちが子どもの頃愛して遊んでいたゲームと比べると、賭けてるものが少しばかり大きいんだ。NBAでプレーをするために捧げてきたものについて説明してくれる?感情的になるのも、それがあるからだと思うんだ。たくさんの犠牲を払ってるからね。家族や時間、そういうの全部。選手たちはバスケットボールに何を捧げてるか聞かせてくれないか?
JC) たくさんありすぎるよ… それに、自分以外にも家族が犠牲にしてることや捧げてることがあるからね。だって考えてもみろよ。チェルシーもノックス(JJの奥さんと息子)もお前になかなか会えないだろ?俺の子どもや家族もそうだよ。シーズン中はカミさんに全部任せっきりになるのも本人はわかってる。シーズン中の俺はバスケに全てを捧げてるからね。フォームローラーで筋肉をほぐしたり、塩浴をしたり、他のチームの試合もチェックしてるし…
JJ) シーズン中はカプリ・サン(ジュース。子供に人気がある)を飲まないし。
JC) そうだよ、カプリ・サン飲んでないし!
JJ) かなり犠牲にしてるね。
JC) 俺にしてみればだいぶ犠牲にしてるよ!ベッドの横に置いてあるお菓子の入れ物は俺や子供たちがこじ開けないようにロックかけておかないと… いやでも、たくさんあるよね。息子の試合に行けなかったり、遠足に付き添えなかったり、学校の送り迎えも。そういうちょっとしたことがね… バスケやチームメイトに自分の大部分を捧げてる。だから、みんなそうやって犠牲にしてることがあるからこそ、(チームが)家族なんだよな。
JJ ) そうそう。時間をかけてワークアウトして、家族と過ごす時間を犠牲にしてる。チーム内の関係性も大事だよね。感情的になるのはそのせいもある。スポーツと死を同列で語りたくないけど、でもそういう言い回しってあるよね。「生きるか死ぬか」みたいな。ある意味、あのグループは昨晩亡くなったともいえるよな。
JC) ある意味ね。
JJ) 中国やトレーニングキャンプを入れると世界中のあらゆる場所でほぼ毎日一緒に過ごした。一緒に争い、一緒に闘った。それで気付くんだ。感謝の気持ちでいっぱいなんだけど、この中にはもう二度と一緒にプレーしない、二度とチームメイトにならないやつらもいるってことに気付く。
JC) お前は3年前にここへ来たよな。チームがお前と契約した時、俺は「JJレディックか。アトランタにいた頃プレイオフで会ったな。こいつどんなやつなんだろう?」って思ったんだ。トレーニングキャンプでやりあうんだろうな、ってさ。わかるだろ?スタイルは全然違う。どちらも効果的だけど全然違って… だから俺は「上手くいくのか?やりあうことになるよな」って思ったんだよ。お前が俺をガードしてて、でも俺は最初はお前のことはガードしなくて。覚えてる?
JJ) ああ(笑)。
JC) 覚えてる?お前のことガードしなかったの。「いやいやいや、もうちょっと様子見ないとな」って思ってたんだよ、俺。あれが3年前だよ。
JJ) 本当だな…
JC) 早いもんだよ。勝てる時期も… この3年間のプレイオフでの負け方を見ると本当にドラマチックだよな。胸をえぐられるというか。でも今年のは、お前がいた3年間の中でも今年に限っては、正直言って俺たちが自ら招いたものとは言えないね。コントロールできたことじゃなかった。
JJ) そうだね
JC) 自業自得とかじゃなかった。困難を乗り越えて闘った。チームで1番と2番目の選手を失ってあそこまでやったチームなんている?
JJ) いないよ!
JC) プレイオフ中に?
JJ) うん。ないよね。
JC) しかも同時に、同じ試合で。それでも可能性はあった、まだいけたかもしれない。そこまでできるチームは他にいないよ。
JJ) 先に進む前に言いたいことがふたつあるんだけど。一つ目は、君も同意すると思うけどポートランドはよくやったよ。
JC) うん。
JJ) 死ぬ気でプレーしてた。
JC) だね。
JJ) ゲーム1とゲーム2を受けて、上手く調整してきた。俺らがブリッツしたりダブルチームしてたにも関わらず、リラードとマッカラムにスペースを与える方法を考えた。あとはロールプレイヤーも良かったよね。
JC) 頑張ってた。
JJ) アル・ファルーク・アミヌはポートランドでいい試合をしてた。ゲーム4だっけ?30点取った時。
JC) そうそう、ゲーム4。
JJ) で、昨晩はモー・ハークレスが3Qにスリーを3本決めてきた。俺らのゲームプランはハークレスに対してフルボディーヘルプをすることだったけど、彼はあの3Qで稼いだよね。だから彼らのことは認めざるを得ない。あと昨晩で言うと、もうひとつはオースティン・リバーズの根性プレーだよな。ああいうのはチームメイトとして今までに見たことがないかもしれない。大げさに言いたくないけど、感動したよ。
JC) 間違いなく感動的だったよ。あの、目が。目をやられて一旦試合から出た時は血が出てるし、もしかしたら脳震盪も起こしてるかも、と思った。
JJ) ちなみにグロかったよね。
JC) メイウェザーかパッキャオと12ラウンドやりあったボクサーみたいだったよ!相当やばかった。しかも試合が進むにつれてさらに悪化してった。試合に戻ってきて、目が閉じてるんだ。もう片目でプレーしてるんだよ。しかもリラードというNBA屈指の選手を相手に闘ってるんだ。しかもさ、よく聞くじゃん。俺も、みんなも聞いたことあるコメント。「親父のおかげでプレーできてるだけだ」ってやつ。
JJ) いつも叩かれてた。
JC) そう。
JJ) 理由はどうであれ。まあ、家系というか、ドックのこともあるんだろうけど。でもあいつさ、タフだよ。
JC) もう誰もそれを疑うやつはいないよな。今まであいつのことを良く言わなかった人たちも、昨日で見方が変わったと思うよ。今後一切悪いことは言えないんじゃないかな。
JJ) たくさんの人の心をつかんだよね。俺はオースティンについて前から思うところがあったんだけどさ、タフだってことも知ってるし。昨日「お前のことは前から尊敬してたけど、これで完全に別次元にいった」って伝えたよ。
JC) しかも俺らにしたら毎日会ってるやつなのに、だ。だからさ、カジュアルなファンが卵のアイコンのままでどっか遠くからなんか言ってるのなんかさ… 今後は変わるよな。
JJ) この間さ、誰かがツイッターで…何て言われたか覚えてないんだけど。確かUNC(ノースカロライナ大学)のファンが何かコメントしてきて、普段は俺リプライしないんだけど、そいつのアイコンが卵でさ。だからそいつに、なんかUNCがどうの、みたいなコメントだったんだけど、「わかったよ。お前がちゃんとしたアイコンに変えたら話を聞いてやる」って返事したんだよ。
JC) 「顔を見せろ!姿を見せやがれ!」
JJ) 忙しいとかなんとか言ってた。
JC) 言い訳だろ。正体を明かせ!こういうやつらには石を投げたその手を隠すようなやつらがいるからね。
JJ) でも全体としてはいいシーズンだったと言えると思う。ただ、やっぱりチャンスがあってそれを逃すのは悔しいよ。もし俺らがみんな健康体で勝ち進んだとして、ウォリアーズやサンアントニオ、OKCや東のチーム相手にどうなるかはわからない。でもチャンスはあったと思う。3年間ここにいたけど、毎年チャンスはあったと個人的には思ってる。でも毎年、それが自分たちが原因だろうがなんだろうが、胸がえぐられるような負け方をしてきた。
JC) ああ。
JJ) それが全部関係があるかはわからないけど。いや、関係ないと思いたいけど… その辺どう思う?
JC) 関係ないと思いたいね。でも8年間同じチームでやってきたとして、こういった状況は1度や2度はあるかもしれないけど、俺らは毎年連続でだからな。そこが問題なんだ。だからみんなに「あとどれだけこのグループでやっていくつもりなんだ?」「このグループはこれ以上できるのか?」「ファンとしてこれ以上耐えられる?」なんて言われるんだよ。だから全部つながってるとも言える。
JJ) 確かに、それもそうだな。クリッパーズがブランド再生した時、クリッパーズの名前も変えるべきだったと思う?呪いなんだと思う?
JC) クリッパーズの呪い?どうなのかな。呪いだとは言いたくないけど…
JJ) そういうの信じてないし!
JC) 俺も信じてないよ。
JJ) でもここまでくると…
JC) あまりにも…
JJ) はぁ…(ため息)
JC) ただ単純なことじゃなくて、なんかあるよね… 呪いじゃないけど、何か…
JJ) この名前はどう?「ロサンゼルス・フェイム(名声)」
JC) うちのチームに有名なやつもいるからね。ロサンゼルス・フェイム… 反対はしない。
JJ) あとは「LAスターズ」もできるよ。ロサンゼルス・スターズ。
JC) LAスターズか。それで運命が変わるなら。
JJ) きっともう遅いよ。
JC) だよな。
JJ) バルマーに相談してみる。
JC) それで結果が変わるなら望むところだ。
JJ) 色んな人の気持ちを考えるとね… クリスとブレイクももちろんそうだけど、他にも毎日顔を合わせる人たちも。トレイナーやコーチ陣、デニース、タニーシャもいる。
JC) 舞台裏で働いてる人たちはたくさんいるからな。
JJ) その通り。彼らのためにも勝ちたいし、ファンのためにも勝ちたいと思うんだよね。毎回見に来てくれる人たちや、リーグパスで試合を見てくれる人たち…
JC) うん。
JJ) それもあるんだよね、感情的になるのは。今朝、弟にメールしたんだ。「たくさんの人を失望させた気がする」って。しかも頑張ってなかったわけじゃない。正しい気持ちでプレーしてたんだ。でもどうしてもそんな気になってしまう。みんなをがっかりさせた、って。
JC) 遠くからだと簡単に「あいつらは負けた」とか「立ち直るだろう」って言えるんだよね。でもこれには本当にたくさんの想いがつまってるんだ。スポーツチャンネルを見る気になれる時もあれば、次の瞬間スポーツなんてまったく見たくなくなったり。大丈夫だ、立ち直れる、いま息子と一緒にいるし大丈夫だ、と思ったかと思うとまたすぐに「一人きりになりたい」って思ったりね。自分のすべてを注いだからこそたくさんの想いがつまってる。お前が言う通り、舞台裏にいる人たちもね。中には朝の6時や7時にジムに着いて次の対戦相手の映像を編集する人たちもいる。そういうすべての人たちが、さ。本当にすごいよ。
JJ) 本当だね。たくさんの人がたくさんのものを注ぎ込んで成り立ってる。ジャマールと俺から、ありがとう。
JC) みんなありがとう。
JJ) クリッパーズ・ネイション、ありがとう。
JC) ありがとう。これを聞いてくれるのはわかってる。
JJ) 他にも… いや本当、俺はNBAが大好きだ。世界中にファンがいるのも素晴らしいし… 俺たちはプレイオフにはもう出てないけど、ゲームそのもののファンだからね。
JC) ああ。
JJ) 次のシリーズのゲーム1と2は見ないかもしれないけど。
JC) (笑)
JJ) でもそのうちまた試合を見るよ。最高のスポーツだと思うし、次に言いたい事とも関係してる。試合の後でウェス・ジョンソンの話が聞こえてきて。隣の部屋というかロッカールームの奥にいたから誰と話してたかはわからないんだけど、誰かと話してて「このチームは今まで一緒にプレーした中でも最高のグループだ。ダントツで」と言ったんだ。彼は7年リーグにいる。君もちょっと言ったけど、君はクリッパーズと4年。このグループの、このチームに関わる事ができたことへの感謝とかありがたさを実感するんだよね。
JC) 特別だよ。俺はリーグに16年いるけど、クリッパーズは今までのどこよりもホームで家族だという気持ちが大きい。それ聞こうと思ったんだった。お前は何度もプレイオフに出てるけど… オーランドと…
JJ) 今までプレイオフに出れなかったことはないよ、ちなみに。
JC) マジかよ。それは知らなかった。それは知らなかったな。
JJ) これは極力言っていくようにしてるんだ。機会があればポッドキャストでも… 多分これ言うの4回目くらいじゃないかな(笑)。10年で10回だぜ、10年で10回。
JC) すごいな。俺は10年目になるまで行ったことなかった。真逆だな。すごいな…
JC) お前はクリッパーズに来て3年経ったけど、それまでにファイナルへ行ったこともあるし、第1ラウンドで敗退したことも、その中間も全部経験してる。今回はそれらと比べてどう?プレイオフ敗退の失望でいうと。誰もが何かしらがっかりしてると思うんだ。第1ラウンドで負けようが、ファイナルで負けようが。最初の7年と比べてここ3年の中では今年はどう?
JJ) うーん… 君も分かると思うけど、若い頃はなかなか物事の全体像を見ることができない。3年目にファイナルで負けて…
JC) 今後もまた何度もファイナルに戻ってこれると思った?
JJ) ドワイトはまだ4年契約が残ってて、ジャミーアもあと4年契約してた。ラシャードもまだ契約が残ってた… だから毎年ファイナルに戻ってくるんだと思った。そしたら翌年にカンファレンス・ファイナルで負けて… あの年は俺にとってオーランドで一番辛い年だった。あのチームはみんな仲が良かったし、多分一番いいチームだったんじゃないかな。2010年のチーム。ドック率いるセルティックスに負けた。つらかったよ。でも年をとって、クリッパーズに来た時はすでに結婚してたし…
JC) ああ。
JJ) 子供もいるし。
JC) 有り難みも変わってくる。
JJ) まったく違ってくる。それに関わってる人たちとの関係もね。オーランドでも素晴らしい人間関係を築いたけど、ロサンゼルスで築いた人間関係は今までの中でも最高のものだ。だからそれぞれ違う意味でつらかったね。この3年間もそれぞれ違ったつらさがあった。君の場合はここに4年いて、メンフィス相手にタフなシリーズを闘ってるよね。2-0で勝ってたところにブレイクが怪我をして、シリーズを落としてしまった。特にこの年がつらかったとかはある?それともどれも同じくらい?
JC) いい質問だね。どれも同じくらいつらかったんだけど、今回はほかと違った。というのも、さっき言ったように自ら招いたものとは違うという点で。メンフィスののように2-0で勝ってて、みんな健康体なのに4連敗したとかじゃないからね。2-2で残り40秒、7点リードしてる試合にポートランドで負けたわけじゃないし。だろ?それでシリーズを落としたわけじゃない。3-1で勝っててあともうちょっとでウェスタン・カンファレンス・ファイナルに行けるってところからシリーズに負けたわけじゃない。だからどれも違ったつらさがあるけど、今回は「次は一体何が起こるんだ?」って感じだった。プレイオフのシリーズを闘ってる最中にあの二人を失うなんて… シーズンの第1週目なわけじゃないから怪我を治す時間もない。どれもつらくて胸が痛むけど、今回はほかとは違うよ。
JJ) 今回のは胸が痛むね。昨年のはつらかった。
JC) いやぁ、昨年は本当につらかった。
JJ) あそこまで来ててね。君とも…
JC) …話してたんだよね。
JJ) ふたりで話してたんだよ!
JC) そう、ふたりで話してた!俺は1年しか大学に行ってなくて、シーズンも半分しかプレーしてないのはみんな知ってるかもしれないけど。JJがファイナル4でプレーするのはどんな感じなのか教えてくれてて、話してたんだよな。
JJ) カンファレンス・ファイナルに行って、最後の4チームになるって話ね。
JC) そう、それを(大学のトーナメントの)ファイナル4と比べて話してた。
JJ) そうそう。
JC) で、お前はカンファレンス・ファイナルの4チームに残ることとファイナル4は比べものにならない、って言ってたんだよな。3-1で勝ってた時にそういう話になって。でも絶対に…
JJ) ちょっとした会話だったんだよね。
JC) 本当にちょっとした会話だった…
JJ) これは決して… もう勝ったもんだと思ったとか、そういうことじゃなかった。
JC) うん。
JJ) でも… 本当にあとちょっとだったよなあ…
JC) しかもモチベーションをあげるために話してたんだよ。よし、あと1勝できれば、っていう… その時にそういう話になって。相手を侮ってたとかでは全然なく。気持ちが高ぶってたんだ。でもな… あんなにあと少しのところまで行って、あそこまで劇的に負けるなんて。しかもゲーム6ではホームで、4Qが始まった時点では19点リードしてて… 正直言って、あれを100回やり直したら99回は俺らに有利に働いたと思う。19点リードだよ?あの時ばかりはツケが回ってくると思って、実際そうなった。
JJ) 本当に!本当だな… で、これからはGMドックにクリッパーズの将来を任せる、と。
JC) ああ。
JJ) 俺は毎回… メディアにそのことについて聞かれるたびに俺の仕事はバスケの選手だ、それについては何も言うことはない、って答えるんだ。本当にないんだよ。俺はバスケをするのが楽しいし、それはドックの仕事だから本人がなんとかするだろう。でもクリッパーズの将来といえば君はフリーエージェントだよね。夏を迎えるにあたっての心境は?君のキャリアでも一番いい年月をここで過ごしてるから、戻って来たいんだと勝手に思ってるんだけど。
JC) 間違いないね。カミさんと話した時に「なるほど」と思ったことがあったんだ。10年一緒にいるんだけど、ここが今まで一緒に住んだ中で一番長いね、って言ってて。アトランタやニューヨーク、ゴールデンステイト(オークランド)やポートランドと転々としてきたからな。今回が一番長く同じところに住んでて、彼女はそれを喜んでる。安定してて嬉しいんだ。俺にとってもチームが安定してるのはいいことだ。俺らふたり、ブレイク、CP、DJはみんな3年以上一緒にいる。あいつらだけで言うと5、6年だ。だからそういう点はいいよね。自分の役割がわかってるし、自分の役割に責任を感じている。チームメイトのことも尊敬してる。俺は変化は好きじゃない。何かが変わるのは好きじゃないし、ここはとても心地いいからここにいれたら、と思ってる。「この場所で引退したい」という人もいるけど、俺は引退なんて考えてないから、ただここでキャリアを続けたいね。
JJ) まぁ君はベンジャミン・バトンだからね。現役はいつまで…
JC) まだキャリアを続けたい。
JJ) 50歳になるまでプレーするんだろ。
JC) 間違いない。
JJ) 君がそういうのは興味深いね。俺も同じで、変化は必ずしもいいことじゃないと思ってる。
JC) ああ。
JJ) 特に現状を楽しんでる場合は。さっきWi-Fiにつなげようとしてた時に君が言ってたことで面白いと思ったのが… ちなみに45分かかったんだけど(笑)。
JC) うん(笑)。
JJ) 君が間違ったWi-Fiを教えるから… まあいいや。
JC) キャハッ!
JJ) その時に君が言ってたのが、このチームの、このメンバーで成功できたらって… そうなったらどういう気持ちだろう、って…
JC) 何にも勝るよ。だって一緒に地獄を味わってきたからな!
JJ) 俺らのチームを見て、根本的にチームの中心選手が上手く行ってないと思う人もたくさんいるけど…
JC) いやいやいや。過去4年間で毎年50勝以上してるのはうちとサンアントニオだけだぜ?このチームの中心メンバーは何も悪くない。不運が続いただけだよ… クソッ!
JJ) 自ら引き起こしたものもあるけどね。
JC) そうだな、自ら引き起こしたものもあった。でも運が悪かったのもあった。だからこそ、このメンバーで成功できたら、それはもう本当にそれ以上のことはないよ。だって… 来年何もないといいけど、本当に最悪中の最悪を経験したと思うんだ。NBAではケミストリーが過小評価されてると思う。
JJ) うんうん。
JC) 80年代を見てみろよ。チームは7〜10年ほど同じメンバーでやってた。セルティックスにはバード、マクヘイル、エインジやパリッシュ、DJがいた。レイカーズだとマジック、カリーム、バイロン・スコット、ウォージー…
JJ) ユタがストックトンとマローンを引き離すことにしてたとしたら?
JC) だろ?
JJ) そうなってたらファイナルに行けたか?多分無理だよな?
JC) 絶対無理だよ!色々あって辿りつけるものなんだ。だろ?雨に降られてからじゃないと虹にたどり着けないことだってある。俺らはいま雨の中なんだよ!雨の中を通ってるところなんだ。でもきっと虹にたどり着くよ!俺はそう信じてる!
JJ) 出た!ジャマール特有の言い回し(笑)。
JC) ほら、取ってあっただろ?お前のためにひとつ取ってあった(笑)。
JJ) この前言ってたの何だっけ?何の話してたか忘れちゃったけど、俺が好きそうな何かを君が見つけたとかで。
JC) 腕時計か何かだっけ。
JJ) 腕時計か、それとも…
JC) コートか何か?そんなようなものだった。
JJ) そうそう、なんだっけ… いいボンバー・ジャケットか何か。
JC) ああ、そうだったかも。
JJ) で、なんて言ったんだっけ?
JC) まずそれを見てお前の目が輝いたのを見たんだよ。それで「バッブズ、お前の好みの路線でいったら、これはちょうどど真ん中だな」って言ったんだ。
JJ) そうそう、最高。ジャーマールの言い回し(笑)。で、君はこの夏フリーエージェントなわけだけど、君としては今季はいい年だったよね。
JC) そうだね。ベンチを改善したのとか全部を含めたら、今までの中でも良い方じゃないかな。
JJ) ああ。
JC) うん、そうだね。
JJ) その結果、賞をもらった。
JC) うん。お前は結構早くから予想してたよな。
JJ) 君はシックスマン賞を受賞した。昨年の夏はチームに加えられた選手が自分のゲームに上手くフィットしないんじゃないかって、フラストレーションをためてたよな。君とドックは何度も話し合ったし、それは必ずしも友好的ではなかったわけだけど。それがこういう結果になったのは面白いよね。
JC) こうなるとは全然想像してなかったよ。
JJ) 結局シックスマン賞だもんな。
JC) 微塵も思ってなかった… 狙ってもなかったし。まったくもって。お前のいう通り、新しく入ってきたやつらがどうフィットするかわからなかったし… 俺の役割と被るようなところもあったし、だから自分の役割はどう変わっていくんだ?って。で、話し合いはお前が言ったように必ずしも穏やかではなかったけど、でも話し合う必要があった。避けて通るわけにはいかなかったんだ。だって… 俺は闘ってるわけだろ?で、年を取ると自然と「ああ、あいつは1年前と比べて年を取ったし、スタッツも落ちてスピードも落ちるだろう」って思われるわけで。
JJ) ああ、段々使われなくなる。
JC) そう、段々使われなくなる。だから俺はさ…
JJ) 翌年はFAだしな。わかるよ。人間だからな、仕方ないよ。
JC) そうなんだよ!なぁ…
JJ) これはさ、君だって家族を養わなわないといけないわけだし。わかるよ。しょうがないよ。
JC) 全部つながってるんだよ。俺にしてみたら自分を犠牲にしてるようなもんだからな。スターターはもう結構長いことずっと一緒にやってきてて、お前らはお互いのこともよく知ってる。でも俺のいるセカンドユニットは常に入れ替わりがあって… なんというか、どうフィットするかわからなかったんだ。どうなるかわからなかった。
JJ) セカンドユニットは最初からすぐに上手くいったわけじゃなかった。でも俺はシーズンの序盤の時点で「大丈夫だ、選手が追加されたのは悪いことじゃない」って言ってた。
JC) 言ってたな。
JJ) それに、いい選手ばかりだったし。本当、みんないい選手だった。でも誰がジャマールと一緒に出てようが、ジャマールを通してプレーすべきだ、と言った。
JC) ああ、言ってた。
JJ) で、最終的には解決することができた。あと、オースティンは自分の役割をやる上ですごく成長した。
JC) かなり成長した。ゲーム自体が成長した。オースティンにも言ったけど。
JJ) うん。
JC) あいつのこと誇らしく思ったよ。プレイオフが始まる前にすでに成長してた。シーズンの初めから終わりまで見てて、成長した。あいつは今じゃまったく違う選手になった。
JJ) シーズン後半はケミストリーも良かったよね。パブロ、コール…
JC) コール!あいつらの存在はでかかったな。賞は俺がもらったけど、あいつらがいなかったら無理だった。ああやってぴったりフィットしてプレーできなかったら。この賞にはあいつらも同じくらい貢献した。
JJ) 君はこのゲームの歴史もよく知ってて愛してるわけだけど…
JC) 大好きだね。
JJ) 勉強もしてる。
JC) うん。
JJ) これから君にちょっと突っ込むけど。
JC) どうぞどうぞ。
JJ) というのも、この賞は君にとってすごく意味があるものだったと思うんだ。同じ選手が3度受賞するのは初めてのことだったし。だから正直、狙ってただろ?考えてたし欲しかったんじゃない?君は受賞するだけのことをしたと思う。今回のはもっと意味があったんじゃないか?
JC) 前のふたつよりも?
JJ) そう。だって… そうだろ?
JC) そうだね、間違いなく。今回のシックスマンはシーズン序盤ではまったく考えてもなかったから、その前のふたつよりも感慨深いよ。いずれもう一度受賞したいとは思ってたけど今季は無理だろうと思ってた。 ジョッシュとランスを連れてきて、オースティンもいる。コールも来た、ポール・ピアースも、パブロも。ルークはトレーニング・キャンプが始まる当日に入ってきた。だから絶対無理だと思ってた。考えてもなかった。後の方になるまで実を結ばなかったと思う。1月、2月あたりになって「あ、これはいけるかも」って。でも今回はお前の言ったようにバスケの歴史を学んできた人間として、今までたくさんの偉大な選手がいた中で初めて何かを成し遂げるというのは特別だよ。すごいのにNBA入りすらできなかった選手もたくさんいることを考えると… だから歴史的にみても今回のことは…なかなかすごいことだよ。
JJ) 君はあとちょっとで2万点に届きそうだよね。あとどれだけプレーしたら…
JC) ああ。平均11点であと20数シーズンほどプレーしたらな(笑)
JJ) もちろん全部計算済みだよね(笑)でもそこまで行くのに、シックス・マン賞を3回受賞するのにも、なかなかのキャリアだよな。
JC) まあ悪くないね。
JJ) 現実的に考えてあとどれくらい…
JC) マジかよ!
JJ) 具体的な数字はいいから。
JC) 別に言ってもいいよ。
JJ) あとどのくらい… 君はなんでも前もって考えてるからさ。細かいだろ。よし、じゃあ聞くけどあと何年プレーする?
JC) 5年。
JJ) 5?
JC) 5年。
JJ) ということは41歳までプレーするってことか。
JC) ほらな!そこなんだよ!「俺は41歳だ」とか思っちゃうからいけないんだって。俺は41歳になってもLA Fitness(ジムの名前)でプレーしてる。だったらいっその事、可能なら41歳で世界トップの選手たちとプレーすればいいじゃん。そうだろ?
JJ) それスティーブ・ナッシュも言ってた。同じ事言われたよ。
JC) だろ?彼はトップの選手だ。
JJ) 「NBAでプレーできるなら、なんでしない?」
JC) だろ?
JJ) 一生プレーし続けることはできない。
JC) だからだよ。俺は… 写真あるから見せてやるけど、俺は2歳の頃からバスケをやってる。バスケットボールを手に持ってるんだよ。ということは、もうかれこれ34年プレーしてる。人生を捧げてるんだよ。だからあと5年なんてどうってことないよ。
JJ) それもそうだな。
JC) あとたったの5年だろ?
JJ) 俺の場合、あとどれくらいか考えると家族のことが絡んでくる。
JC) それいま聞こうと思ってた。
JJ) 俺もあと5年と言いたいところなんだけど… 契約は来年いっぱいで、その後4年契約が欲しいから、そしたら計15年だ。
JC) もらえるよ。
JJ) だといいけどね。でも家族のことがどうしても関係してくるから… 犠牲にしてることの話をしたけど、アウェーで家を離れる度に大事なものを見逃してる気がするんだ。
JC) それはあるね。
JJ) ノックスが何かやってるところをチェルシーがスナップチャットで送ってきてさ… 申し訳なくなるんだ。あともう一人生まれるし… 君もだよね?
JC) あと一人。
JJ) もう一人生まれるだろ。
JC) ああ。
JJ) 君の奥さんのトリーから面白いことを聞いたんだけど…
JC) なんて言ってた?
JJ) 君にぜひ確認したいんだけど。
JC) ああ〜… もうすでに否定したいよ。なんだって?
JJ) 汚れたオムツを替えたことないって。大の方ね。大の方のオムツ、替えたことないわけ?
JC) ほら、それは違うんだよ… 滅多にしないよ、滅多にしないけど。娘のはやったことない(笑)。だから娘のことを言ってるのかもしれないな。うん、娘の汚れたオムツは替えたことない。
JJ) JJ(息子)のだけってことか。
JC) JJだけ。でも女の子はちょっと違うだろ。
JJ) まあそれはわかるけど。でもトリーが言ってたのは「オムツかえないと」っていうたびに君は…
JC) 「手にバーベキュー(ソース)がついてる。」その話聞いたの(笑)?
JJ) そうそう!そう言ってた!リブ食べてるって。リブを食べてる最中だから、って。
JC) 前にバーベキュー食べてる時に言われてさ、できなかったんだよ!だからそれ以来、例えばお菓子食べてたりしても「あー今手にバーベキューついてるから無理だわ」って答えてるんだよ。あいつお前にその話したんだ(笑)。
JJ) 君がいいお父さんだってことは知ってるよ。ちょっとからかっただけ。
JC) ああ。わかってるよ、もちろん!話は戻るけど、お前もあと5年プレーしたいって?
JJ) ああ。
JC) この3年はあっという間だったろ?
JJ) 本当にあっという間だった。
JC) 本当にあと5年だけでいいの?
JJ) 1年ごとに集中するしかないんだと思う。あと5年って考えると気が遠くなるから。ならない?
JC) そうだな、気が遠くなるな。
JJ) 心理的、体力的な影響を考えると…
JC) うん。その全部を考えるとな。
JJ) さっきも話してたんだよな。いま身体がボロボロだよ!
JC) ああ。
JJ) プレーしてるとさ、プレイオフに出る頃にはひたすら色んな不具合がある中どうにかやってるっていう…
JC) うん。みんなそうだよな。
JJ) そうそう、みんな。別に俺だけってことじゃなくて。
JC) うん、もちろんわかってる。みんなそうだよな。
JJ) みんなどこかしら何かある。
JC) でもそのあと1ヶ月、2、3ヶ月休んでリフレッシュすると…
JJ) 夏にトレーニングを始めると身体の調子も良くなって…
JC) ブザービーターのスリーで試合に勝って、なんてことを考えて… 観客もいて… あの快感。
JJ) ああ…
JC) お前はあと5年?
JJ) この夏の目標を掲げるとしたら、バスケのことが好きじゃないわけではないけど、もう一度バスケと恋に落ちることかな。
JC) うん。
JJ) バスケとの蜜月を体験するというか。なんていうか、詩的なまでの…
JC) 根本的なところ。
JJ) 俺がこのゲームを愛する根本的な理由。
JC) じゃあそれを使って次の話に移るけど、お前はシアトルに呼ばれてるぞ。
JJ) (笑)
JC) マジでみんなお前に会いたがってるんだって!お前シアトルで人気なんだよ!デュークの頃からずっと… みんなお前がProAm(シアトルのプロ・アマサマーリーグ)に来るのを待ってる。一度でいいから!
JJ) 俺、ピックアップはやらないんだ…
JC) 一度だけ!!
JJ) (笑)
JC) 頼むよ、一度だけ!なあ!
JJ) …わかったよ。
JC) スリーポイントコンテストでもいいよ。
JJ) これっていつの話?
JC) 7月から9月の間。スリーポイントコンテストだけでもいいよ。みんなただお前に会いたいんだって!
JJ) わかったよ(しぶしぶ)。
JC) オールスターウィークエンドでもいいかな。スリーポイントコンテスト。
JJ) わかったよ(ため息)。
JC) ジェットスキーもできるしさ、水辺でのんびりするだけでも…
JJ) 飛行機出してくれるの?
JC) 当たり前じゃん!冗談だろ?もちろんだよ!
JJ) PJで?プライベート・ジェット?
JC) お前のためなら。
JJ) そうだ。これはフリー・エージェンシーの後だから、君がいい契約できたら… 約束な。
JC) お前のためならいいよ。
JJ) (笑)
JC) お前に聞くよ。バスケ後の人生について。
JJ) ああ。
JC) お前は集中力もすごいし、信念もあって几帳面だ。何をしたいか何かしら考えてるはずだ。
JJ) 考えてるよ。以前ポッドキャストでも少し話してる。俺にとって一番大事なのは、バスケと同じくらい情熱を注げるものを見つけることだと思ってる。それは難しいかもしれない。君も言ったように、俺たちはこのゲームに人生を捧げてきた。コービー・ブライアントの最後の試合を見て、その後に話してたことを聞いてると…あの人はバスケというゲームに人生のすべてを捧げてきた。だから彼や、他にも俺らと同じくらいこのゲームを愛してきた人にとっては難しいことだよな。別のなにかを見つけるのは容易なことじゃない。俺は金のためにバスケをしてるわけじゃないから。これは本当にそう。金がもらえるからバスケを愛してるわけじゃない。
JC) うん。
JJ) だから俺にとって引退後の仕事は、いくら稼げるかよりも好きなことを見つけることの方が大事なんだ。
JC) 幸せでいられたら。
JJ) 君にとってそれはバスケ関連なんだろうけど(笑)。
JJ) 間違いないね。俺はたぶん放送関係かな。もしくはフロント・オフィス。スカウトなんかでもいいな。バスケを見るのが大好きだから。頭の中でチームを組み立てるのも大好きで、GMごっこみたいなことをやったりしてる。だからゲームの周りにいられる何かだね。コーチは嫌だけど!それ以外で。
JJ) これ知ってるかわからないけど、多分君のことなら知ってると思うけど、最近シアトルのスタジアムに関して投票があったとかで。クリス・ハンセンが建てようとしてるアリーナで、マリナーズがスケジュールの保証が欲しいって言ってるとか…
JC) クリスは知り合いだよ。クリスは俺と出身が同じなんだ。すごく近く。
JJ) 君にしてみれば(アリーナが実現したら)夢のような話だろ。
JC) はぁ…(ため息)。
JJ) シアトルにチームができて、そこで働けたら。君はシアトルを離れたくないし。
JC) 離れたくない!すべてが終わるまであそこにいたい。クリスとも話したよ。実現したら本当に夢見たいだ。実現することを願ってるよ。欲しいな… 実際、サクラメントが来るって信じてたんだよ。
JJ) ケビン・ジョンソン。
JC) そうなんだ。彼が奇跡を起こした。
JJ) 本当だな(笑)。
JC) マジック(魔法)を使ったのかってね。ケビン・ジョンソンがマジック・ジョンソンになって魔法を使った。
CM
JJ) 今週の「4 on 4」では、好きなミュージシャンを4人選んでその話をする。これは偉大なるプリンスの追悼の意味も込めて。
JC) ああ。
JJ) ご冥福を祈ります。
JC) 安らかに。
JJ) 悲しいね。
JC) こういう人がなくなると、俺らはみんな命ある身なんだって思うよな… だってプリンスはさ、こう…
JJ) うんうん。
JC) なんというか、人間を超えた… 彼やシャーデー、マイケル・ジャクソン、スプリングスティーンみたいな人たちはみんなの人生の背景に常にいたわけで。俺らが生きてる間ずっと存在してたみたいな感覚だからさ。17世紀からずっといました、みたいな。もうずっと存在してる。
JJ) ああ。
JC) だからそういう人が亡くなったって聞くと、なんだか想像もつかないよ。
JJ) ポップ・カルチャーの最初の記憶だよね。少なくとも昔、俺がMTVやBETを見始めた頃… 11歳くらいまでケーブルTVに加入してなかったから1994年か95年頃だったと思うけどさ… プリンスだよね!
JC) そうだな。
JJ) もしくは「かつてプリンスと呼ばれたアーティスト」。ちょうどその頃だった。
JC) 「パープル・レイン」は覚えてるよ。映画を見たらわかると思うけどバイクに乗っててさ、そこら中に水を飛ばしながら色んなトリックをやってるんだよ。「パープル・レイン」を見た後にさ、シアトルは雨が多いわけだけど、自転車に乗って外に出るわけ。もう自分の中ではプリンスになりきってて、バイクに乗ってる気になってるんだよ、頭の中では。で、自転車でトリックをやりながら、俺はプリンスだ、プリンスはこうやってた、って。プリンスの最初の記憶はそれかな。映画の「パープル・レイン」だった。
JJ) プリンスは君のトップ4には入ってないけど、彼の偉大さは認める、と。
JC) うん。入れてもいいんだけど、俺自身が聞いてきた音楽かというと違うから。
JJ) よし、じゃあ一人ずつね。君の一番好きなミュージシャンから。一番好きなのから教えて。
JC) トゥパック・シャクール。
JJ) あーー。いいチョイスだね。
JC) 最高のチョイスだろ。成長を見届けられなかった思うと…21歳から25歳までの成長を見るとね。25歳で亡くなったから。彼の影響を考えるとさ… いま現在でも終身刑で牢屋に入ってるやつの壁に2パックのポスターが貼ってあったりするんだよ。音楽を超えた存在だった。
JJ) 彼の影響は絶大だよね。彼のラップを聞くと、時代を超えてる。
JC) その通り。
JJ) 90年代のラップの中には…
JC) 古臭く聞こえる物もあるからな。
JJ) 「マジか?なんだこれ?何考えてたんだ?」って。2パックがさ、例えばカニエのプロデュースでコラボをやってたら、とか思うとさ…
JC) うわぁ…
JJ) ヤバいよな!
JC) 後で出てくるけど、Nasの曲で「Thugz Mansion」っていうのがあるんだけど。
JJ) ああ、あるね。
JC) 2パックのバースは1996年のものなんだ。Nasは2003年。2パックのバースの方が今でもいいんだよ。本当にすごい。世のNasやJay Zたちを挑発してたんだ。
JJ) あれって「Better Dayz」のアルバム?
JC) そうそう。
JJ) あのアルバム大好きだったな。
JC) 誰も返事しなかったんだよ!
JJ) あのアルバム最高。
JC) 誰も返事しなかった!ビギー、Jay Z、Nas、みんな史上最高のラッパーだ。それでも2パック(の挑発)に何も返さなかった。それくらい違うレベルにいたんだ。誰も相手にしたくなかった。
JJ) 俺の場合2パックは1番ではないけど…
JC) でもリストには入ってる。
JJ) 2番目。1番は俺にとってはブルース・スプリングスティーン。理由は…
JC) 「Born in the USA」?
JJ) あはは(笑)。そうじゃなくて、大学時代はほとんど彼の音楽しか聞かなかったんだ。それがちょうどKazaaとか…なんだっけ、Napster?の頃で…
JC) Napsterね。うん。
JJ) 違法に音楽をダウンロードできたやつ?
JC) そう。
JJ) ブルース・スプリングスティーンのアルバムを大量に持ってたよ。実物のCDも全部買ったけどね。大好きなんだ。今まで見た中でも最高のコンサート体験だった。UNCのフットボールスタジアムでやったコンサートを見たんだ。
JC) へぇ!
JJ) (デューク大HCの)シャシェフスキー家と行ってさ。前の晩にワシントンDCで演奏したばっかりで、そこからバスで4時間移動して3時間半演奏したんだ。しかもこれが最初で最後のパフォーマンスだ!って感じのパフォーマンスだったんだ。最高だった。本当にすごかった。
JC) マイケル・ジョーダンが言ってたことを読んだけど、同じようにプレーしてた。観客の中には初めて見に来た人もいるかもしれないから、ガッカリさせたくないって。ブルースも同じだね。
JJ) ああ。初めて聞いたのが「The Rising」のアルバムで、あれは9.11以降アメリカ人が感じていたことを表現した初めてのロックアルバムだった。だからそれにすごく共感して。よし、俺はこれで2つだ。2パックの次は?
JC) マイケル・ジャクソン。
JJ) はぁ…(ため息)。マイケル・ジャクソンね。
JC) あの人ほど有名な人っている?5歳から50歳までの間で、あれだけ有名な人が地球上にいる?シルエットだけで誰かすぐにわかる。
JJ) うん。
JC) 世界中でだ。国内だけじゃなくて。マイケルに会うと人は失神したんだよ。本当に… お前はディテールに厳しいけど、彼はダンスや振り付けや、すべてに関して本当に見たことないくらい細かった。本当に大勢の人にインスピレーションを与えた。
JJ) 彼の影響は色んなところに見えるよね。まさにインスピレーションというか。今までのチームメイトでもマイケル・ジャクソンに夢中だったやつはいた。シャブリック・ランドルフって知ってる?
JC) ああ。しばらくフィラデルフィアにいた?
JJ) そう。デュークで一緒だったんだけど、マイケル・ジャクソンの衣装を全部持ってたんだ。ダンスも全部覚えてて… 本当に夢中だった!
JC) マイケルは… 彼ほど有名な人はもう現れないんじゃないかな。俺らの生きてる間も、それ以降も。
JJ) さっきNasの名前が挙がったけど… 俺にとっては2パックの次に好きなラッパーなんだ。Jay Zも大好きだけど… それにJay Z対Nasのポッドキャストをここでやるつもりはないから。いま君とその話はしない。君のリストにJay Zは入ってるだろうから。俺はNasが好きなんだよな。彼のデリバリーやリリック… 君は知らないかもしれないけど、というか知ってるか。まだ聞かせてあげてないけど、俺は大学の頃にひどいアマチュアラップをやってたことがあるんだ…
JC) 知ってる、知ってる。うん、知ってるよ。
JJ) リリックはNasの影響を一番に受けたと思う。Nas最高。
JC) Nasは確実に歴代トップ5のラッパーだし、それでも過小評価されてる。信じらんないよな。
JJ) 過小評価されてるね。
JC) いまだに過小評価されてるよ。彼はそういう、お前は金のためにバスケするんじゃないって言ってたけど、彼は地位や名声のためにやってるわけじゃないからな。彼は本当に… やろうとしてることは…
JJ) 彼は職人だ。
JC) その通り。
JJ) ラップのためにやってる。
JC) まさにそれ。
JJ) 尊敬するよ。
JC) Nasと話したことがある人を何人か知ってるんだけどさ。本当に頭がいい人だって。
JJ) じゃ、君の3人目は?俺は今言ったから。
JC) Jay Z。これだけ長い間、これだけすごいって他にいる?20年間、常にトップ。Jay Zのおかげでみんなジャージ着てさ…
JJ) ラップでいうと、クオリティと活躍期間の長さで彼に敵う人はいないね。
JC) あのレベルではいないよな。
JJ) 影響力も。ポップ・カルチャーのへ影響。今でも話題になる。90年代後半から2000年代の全盛期と同じと言ってもいいくらい、今でも影響力がある。
JC) だろ?スローバック・ジャージを流行らせてさ。でからボタンダウンシャツを着てスローバック・ジャージの時代を終わらせた。その後はスーツを着た。それから… 彼はマーシー・プロジェクツ(公営団地)出身だぜ?
JJ) トム・フォードはJay Zにお礼しないとな。
JC) 本当だよ!信じらんねえ!その上、隣には超有名な女性がいる。
JJ) はぁ…(ため息)。
JC) しかもさ、これ昔言ってたの俺知ってるんだけど、つきあう前から感銘を受けてた、って彼女は言ってるんだよ。だからもうなんか、Jay Zがやることはすべて正しいみたいな感じだよな。
JJ) ビヨンセが君のリスト入りしてないのはちょっと意外だな。
JC) 入れるべきだね、実際。
JC) でも君の4人目は別の女性だ。
JC) ああ。今まで聞いた中で最高の声。ホイットニー・ヒューストン。
JJ) (ため息)
JJ) あの声… 国歌聞いたことある?
JJ) ない。
JC) アメリカの国歌聞いてない?スーパーボウルでの?
JJ) いや、ないと思う。
JC) スウェットスーツを着ててさ。声が楽器みたいなんだよ。録音されたもののように聞こえるんだ。誰かが実際に歌ってるように聞こえない。本物じゃないみたいで。人の声があんなだなんて信じられないよ。息が止まる。お前も絶対聞いて!
JJ) ここまで伝説的なパフォーマーやミュージシャンの話をしてきた。マイケル・ジャクソン、ブルース・スプリングスティーン、ホイットニー・ヒューストン。史上最高のラッパー3人。ここでちょっと変化球いくよ。俺が4番目に好きなミュージシャン。多分聞いたことないと思う。
JC) 試してみろよ。
JJ) シルバーサン・ピックアップス。
JC) 誰??
JJ) (爆笑)
JC) 何それ、ヴァージニアのどっかにいるの?誰?
JJ) 思った通りのリアクション(笑)。
JC) っていうか誰??
JJ) バンドだよ。ロックバンド。
JC) シルバー… なんだって?
JJ) オルタナティヴ・ロックだよ。ロサンゼルス出身の。
JC) LAに移ってきた時に初めて聞いたの?
JJ) いやいや。彼らが曲を出し始めた頃に聞き出したんだ。2000年代半ば、2005年頃かな。オーランドでコンサートを見たんだ。ハード・ロックで。バックステージで彼らに会うこともできて…
JC) 親戚がバンドメンバーの中にいるわけ?
JJ) 違うよ…(笑)。すごくいいんだって!曲聞かせるから。心配するな。
JC) シルバー何だっけ?
JJ) シルバーサン・ピックアップス。ほら、シルバーレイクってあるだろ、ロサンゼルスに。あの辺り出身なんだ。で、あの辺にリカーストアがあるらしくって。シルバーサンなんとかっていう。そのリカーストアの名前からつけたんだ。
JC) バッブズ、いくらいいって言ってもさ…トップ4に入れちゃうわけ?
JJ) だって… 大好きなんだよ、彼らの曲が。シルバーサン・ピックアップスのTシャツも持ってて、俺の一番好きなTシャツなんだ。
JC) マジかよ(ため息)。
JJ) 俺のツイッターのアイコン見てよ。
JC) なんか思い入れがあるの?そういうこと?
JJ) 音楽が最高なんだ。
JC) あっそ。
JJ) 2012の頭にアルバムを出したんだ。3つ目のフルアルバムでさ。その夏俺はニューヨークに住んでて、毎日地下鉄に乗ってSoHoから42番街まで通ってたんだ。その間何度も何度もアルバムを聞いた。ニューヨークで毎日やってたワークアウトに行くまで、気分を上げるためのアルバムだったんだよ。だから思い入れはそれかな。実際に会うことができたし… バックステージで一緒にウィスキー飲んでさ…
JC) いい体験だったわけだ。
JJ) Tシャツにもサインしてくれて…
JC) しかも才能もある。
JJ) 才能あるよ。最高だ。
JC) お前に新しいグループを教わったな。
JJ) ベスト・ヒットのミックステープ作ってあげるよ。
JC) じゃあお前はそのミックステープを作って、俺はホイットニーがスーパーボウルで国歌を歌ってるとこの動画を送るよ。
JJ) バッチリだ。
JC) あれを見たことないなんてショックだよ。送ってやるから。
JJ) わかった。
JC) よし。
JJ) 俺たちの好きなミュージシャン、トップ4。最高だな。ジャマール、時間を取ってくれて本当にありがとう。Wi-Fiで45分手間取って悪かった。
JC) 俺も謝るよ。
JJ) いつもながら君と話すのは楽しかった。最後にこれで締めようと思う。これは心から言う。俺は今までたくさんのやつらとプレーしてきた。俺も君も長いことリーグにいる。君もたくさんのやつらとプレーしてきた。その中で「この人とは今後15年、20年つきあいが続くんだろうな」って思うやつは片手、いや両手で数えるほどしかいない。
JC) 引退した後も。
JJ) 引退後も。君はそのうちの一人だ。君も言ってたけど、3年前はこれがどういう関係になるかわからなかった。
JC) そうだな。この友情は中でも最高の…
JJ) 本当に。
JC) クリッパーズにいて良かったと思えることのひとつだよな。全然予想してなかった。以前も話したことあるけど、俺らは引退後も絶対に友達だよな。それって誰にでも言えることじゃないけど。お前の言うように片手か両手で数えるほどだ。お前は最高だよ、本当。
JJ) 君もな。夏にいい契約を結べることを願ってるよ。クリッパーズと。
JC) 俺も。
JJ) 君がまた戻ってきて、この旅を続けられるといいな。この旅を続けたい。
JC) ああ。遠くまできたからな。このまま行くしかない。
JJ) あはは(笑)そうだな。 ジャマール、ありがとう。
JC) ありがとう。