Lakers Nicknames
|レイカーズ公式のポッドキャスト「The Popcorn Machine」にスペイン語アナウンサーでニックネームの名人のエイドリアン・ガルシア・マルケスが出演。今季のレイカーズにロスター入りした一人一人のニックネームを紹介してくれた。
Time Warner Cable Deportes(TWCデポルテス)はレイカーズの専属ケーブルチャンネルであるTime Warner Cable SportsNetのスペイン語版。エイドリアン・ガルシア・マルケスはここでレイカーズのスペイン語実況を担当している。選手にニックネームをつけることで有名らしく、ユニークな実況でいくつか賞も受賞している。レイカーズ・デジタルチームで「The Popcorn Machine」の司会を務めるジョーイー・ラミレズ(J.R.)がインタビューした。
マルケス曰くニックネームのつけ方の基本は「その人を見てると何を思い出すか」。「ちょっとしたギターリフを思いついたのが曲になるように、自然と出てきたフレーズからニックネームがつくことも多い」とのこと。
Tarik Black: “El Bufalo”
タリック・ブラック「エル・ブファロ」
本人はBoom Boomが気に入ってるけど「エル・ブファロ」だね。初めてまともにブラックがプレーするのを見た時、人をなぎ倒していく様がバッファローのようだったんだ。本人にニックネームを伝えると、とても気に入ってくれた。彼は本当にいいやつだ。紳士だね。Boom Boomってニックネームもいいと思うよ。彼にも言ったんだけど、昔ラテン・ヒップホップでBoom Boom Mami Mamiって歌があってね…まぁこの場合のboom boomは全然違う意味だけど。でへへ
Anthony Brown: TBD
アンソニー・ブラウン(未定)
まだないね。プレータイムが少ないとどうしても。初めて彼に会ったときに、バターって呼んでほしいと言ったんだ。スペイン語でバターはなんていうのか聞かれて「マンテキーヤ」と答えると「そう呼んでくれませんか?」って言うんだ。「そういうんじゃダメなんだよ」って言ったよ。この間のサマーリーグ中にニックネームが浮かんできそうな感じはあったんだ…だからもうすぐ、そのうち何かつけるよ。
Jose Calderon: “Caldo de Tres”
ホセ・カルデロン「カルド・デ・トレス」
彼は「カルド・デ・トレス(スリーのスープ)」だよ。これは簡単。みんなには「カルデ」と呼ばれてるから、新しいニックネームはいらないんだけど「カルド・デ・トレス」はぴったりだと思うんだ。スリーを決められるポイントガードだからね。トリパ・スープ(カルド・デ・トリパ。牛の内臓スープ)だよ。
Jordan Clarkson: “El Cuchillo”
ジョーダン・クラークソン「エル・クチーヨ」
「エル・クチーヨ(ナイフ)」だね。昔’80年代に売られてたG.I.ジョーのフィギュアの箱に、そのキャラのデータが載ってたんだ。それが最高で、最後に必ずそのキャラについて一言書いてあるんだよ。「自分の主張を通すためだけに敵の兄弟と両親とおばあさんと猫を全員殺すようなワル」とかね。本当に面白かったんだ。最近インスタグラムをもっと楽しもうと思ってたらちょうどそのことを思い出して、よし、レイカーズの選手ひとりひとりをG.I.ジョーのキャラ紹介っぽくやってやろうと思いついたんだ。今週とりあえず「エル・クチーヨ」ジョーダン・クラークソン、「ドン・フリオ」ジュリアス・ランドル、「スペース・カウボーイ」ラリー・ナンス・Jr.の3人をあげた。で「エル・クチーヨ」の話に戻るけど、サマーリーグで初めて見た時カッティングやスラッシングで相手を切り刻んでたんだ。「ミッチたちはいい選手を取ったな」って思ったね。その試合を後にするクラークソンは物静かで、でももっと高順位でドラフトしなかったのを後悔させてやる、という闘志を燃やしててさ。本人に言ったんだ。「おい、アミーゴ。君は相当にヤバい選手になるな。今からでも宣言するよ」って。そのあとシーズンが始まって、そのうちプレータイムももらえるようになってきた12月頃、ACのマドセンと話してて「いつになったらエル・クチーヨを放つんだ」って聞いたんだ。当時はまだ完全なクチーヨじゃなかったからクチイートだったけどね。ちっちゃなナイフ。マドセンは「もうすぐだよ」って言った。それから間もなくして2、3試合後には立派なクチーヨに成長したよ。マチェーテを持ってきたからね。だからG.I.ジョー風の紹介ではスネーク・アイズを拝借したんだ… スネーク・アイズは一番のG.I.ジョーだからね。
Luol Deng: TBD
ルオル・デン(未定)
まだない。彼はとても頭が良くて、国連で働けそうな感じの人だ。今季のレイカーズは本当の国連みたいだね。(このあと国際色豊かな食事の話からドーナツの話にしばし脱線。)
Marcelo Huertas: “Chef”
マルセロ・ウェルタス「シェフ」
あれは「シェフ・ウェルタス」だよ。だって見た目がシェフみたいだろ?「料理の鉄人」にも出てそうだよ。プレーもシェフみたいにディッシュ・アウトしててさ。彼のことは大好きだね。プロ中のプロだ。昨年ハワイに行ったときもキャンプ中で一番のハードワーカーで、プレータイムがもらえなくても文句を言わず、機会が与えられると素晴らしい働きをした。今回のオリンピックでもいい活躍をしてたよね。ディアンジェロの側におくにはぴったりだと思う。ディアンジェロもパスさばきがいいからウェルタスから技を盗めればこっちのもんだよ。カルデロンも合わせればあの3人とルークで楽しみなことになるね。
Brandon Ingram: “La Cobrita”
ブランドン・イングラム「ラ・コブリータ」
サマーリーグの後半頃に思いついたよ。それまでにファンやパンチョ(解説)に「イングラムのニックネームは?」って散々聞かれてたから試合中にずっと観察してたんだ。細くて、動き方を見てるとまるで浮いてるように走る。ちょっとグリムリーパー(死神)っぽいな、と思ったけど、いやいやそれはデュラントのスリムリーパー(というニックネーム)に引っ張られてるだけかな、それじゃダメだ、って思った。するとある晩、ナショナル・ジオグラフィック・チャンネルを見てたらコブラが出てきたんだ。細くて、まるでイングラムがジャングルにいるかのようだった。コブラは地面をスルスルと這うだろ。スペイン語だとそういうヘビのような動きを「セルペンテオ」と言う。コート上を走るイングラムのように静かに動く。それでからパッと立ち上がって、ペリミターにパッときてシュートを打つような感じでコブラは首を広げて… あれはシュートを打つイングラムだよ。あの目もさ、イングラムの目を見たことあるだろう。まるで催眠術をかけてるような。彼は素晴らしい選手になるよ。左ウィングからのシュートは練習で20本中19本入れてたのを見たことがある。それで「ラ・コブリータ」が生まれたんだ。まだ一人前のコブラではないから小さなコブラ。あとはキング・コブラにちなんでキンストン(ノース・キャロライナにあるイングラムの出身地)・コブラ的な。あとね、俺はナードだからここからちょっと深くなるけど。これはちょっとウータン(ラップグループWu-Tang Clan)にシャウトアウトだね。彼らのニックネームがいかに考えてつけられてるかを聞いたことがあるんだ。イングラムのコブラってのはコービーが残したヴェノム(ヘビの毒)でもあるんだ。コービーが去った後に続くのが同じヘビなのはふさわしいと思って。本当は時間があればもっとあるんだよ。背番号の14とコブラに噛まれたときに体内に入る毒が何オンスで、とか… 俺はおかしいんだよ。やりすぎなんだ(笑)
Yi Jianlian: TBD
イ・ジャンリン(未定)
まだニックネームはない。最後にNBAの試合で見たのはマブスだったかな。オリンピックは見てたけど良かったよね。これからもっと見るのを楽しみにしてるよ。絶対何か浮かんでくるはずだ。
– J.R.「タイ(レイカーズ・デジタル部門、撮影担当)に提案したんですが、もしひどかったら言ってくださいね。『イージー・イー』はどうですか?」
あはは悪くないね。
Timofey Mosgov: “La Montaña Rusa”
モズゴフ「ラ・モンターニャ・ルサ」
「ラ・モンターニャ・ルサ」スペイン語でジェットコースターのことだけど、同時に「ロシアの山」という意味でもある。あと「ゲーム・オブ・スローンズ」に出てくる「マウンテン」みたいに大きいから。GoTは大好きなんだ。彼との契約に不満だったファンも多いみたいだけど俺は自分で見て決めたいタイプなんだ。デンバーで B. ショー(元レイカーズ・アソシエイト・ヘッドコーチ)の元でやってた時は本当に止められなかった。うまくいけばビーストになれる選手だ。このシステムではそうなれる可能性がある。ルークがやりたいような、ボガットみたいな役割で「ラ・モンターニャ・ルサ」がペイントを守る。
Julius Randle: “Don Julio”
ジュリアス・ランドル「ドン・フリオ」
「ドン・フリオ」!大好きな選手だ。
– J.R.「ファンにもこのニックネームは大人気ですよね」
昨季の始めにジュリアスがマルコ・ヌニェズ(今季からゲリー・ヴィティに代わりヘッド・アスレチック・トレーナーを務める。当時はアシスタント)に「俺のニックネームって何になるのかな」と聞いたらしいんだけど「すでにあるよ!ドン・フリオだよ」って説明したそうなんだ。本当は俺がその前に説明してたんだけど、いまいち意味がわかってなかったみたいで。G.I.ジョー風の紹介にも書いたよ。つまり、ただテキーラの名前を借りてるんじゃなくて、ジュリアスの面持ちがマフィアのドンみたいなのもある。もちろんテキーラの意味もある。ドン・フリオは俺の一番好きなテキーラで、特に1942の熟成されたのが… 話が長くなるからこれ以上は掘り下げないけど、昔へのスローバックだろ?ジュリアスはまさにそういった選手だ。戦いがもっとシンプルに「分裂させて征服せよ」の時代だった頃のような。見た目も実際よりも老けて見えるし、プレースタイルもスローバックだし、態度はマフィアのドンみたいで静かだけど殺されそう。「瀬戸物屋の中の雄牛」ならぬ「瀬戸物屋の中の戦車」だよ。レイカーズの練習場にハンモックがあって、そこで寝泊まりしてるんじゃないかってくらい、いつもいる。今季はいい年になるんじゃないかな。疑ってる奴らを見返す活躍をすると思う。
Ivica Zubac: “L.A. Zu”
イヴィツァ・ズバッツ「L.A. ズー」
– J.R.「彼はすでに『ズブロッカ』というニックネームがありますが」
サマーリーグで彼を見ていて大ファンになったよ。試合に出るさらに前に練習を見てたら、そこにズバッツがいて練習してる他の選手たちを羨ましそうに見てたんだ。まだ練習に参加する許可が出てなかったからね。まるで子供の頃にハロウィンを楽しむ他の子たちを黙って見てなきゃいけなかった時の俺とまったく同じ顔をしてたよ。俺はエホバの証人で育ったから(お祝い事は禁止されている)ひとりで見てるのは本当に苦痛だった。かわいそうに、自分もバスケがしたくてうずうずしてる顔をしてた。だから試合が始まると全開でプレーしてたね。「ズブロッカ」のニックネームも好きだけど、そこからさらに違う名前に発展した。ある試合で彼がやりたい放題やってるのを見てたら、いつの間にか「L.A.ズー(動物園)」って呼んでたんだ。ディフェンスではまるでクマ、オフェンスではライオン、走る姿はガゼルのよう。まぁビッグマンにしてはね。L.A.動物園にいる猛獣たちを合わせたような特徴がたくさんある。
– J.R.「『L.A.ズー』はすごくいいですね。いいニックネームが2つもあるなんてずるい。」
Lou Williams: “El Diablito”
ルー・ウィリアムズ「エル・ディアブリート」
ルーは「ディアブリート(小さな悪魔)」。あごヒゲがロテリア(メキシコのカードゲーム)の悪魔に似てるのと、ベンチから出てきて相手に地獄を見せるだろ?でも実は彼はとてもスピリチュアルな人間で、家族もそんな感じがしたからちゃんと母親にも承諾を得たんだ。信心深いというよりはスピリチュアルな感じで、失礼になるといけないからまずルーに聞いた。意味も説明すると「いいね、気に入った」と言ってくれた。そこで母親が来てたから彼女にも聞くと「うーん悪魔ねぇ…」と言いながらも許してもらえたよ。親公認だ。
– J.R.「次の選手はその真逆のニックネームですね」
D’Angelo Russell: “El Angelito”
ディアンジェロ・ラッセル「エル・アンヘリート」
「エル・アンヘリート」。レイカーズに来た当初「ディアンジェロは『un angelito cayo(天から落ちてきた天使)』にならなければならない」って話してたんだ。レイカーズがまた強くなるには彼の活躍にかかってる。レイカーズにとって神の使い、敵にとっては死の使いにならなければ。あとこれは後から思ったんだけど、イタズラ好きで悪い事ばかりしてる子供が振り返ると「僕なにもやってないよ」っていうのをスペイン語だと「うちの子に限ってそんなことはないわ!うちの子はアンヘリート(天使ちゃん)なんだから!」っていうんだ。で、みんなも知ってる通りディアンジェロはバカな失敗をしたわけだけど。でも反省したからね。若い頃はバカなことをやるもんだよ。あの時は結構世間に厳しいことを言われたけど、反省して前を向く意志があるからね。今年のサマーリーグではいいところをたくさん観れた。リーダーシップも発揮してた。チームメイトや球団にとっては天使、敵には死の使いになってほしい。
Larry Nance Jr. : “El Space Cowboy”
ラリー・ナンスJr.「エル・スペース・カウボーイ」
ああ。彼は大好きな選手だ。ハードワーカーで親しみやすくて礼儀正しい、素晴らしい青年だ。彼はスーパースターになるね。ポテンシャルだらけだ。サマーリーグだけじゃなくて練習でも見たけど、今年のラリーはさらに成長してるよ。俺は彼の大ファンだ。彼はワイオミング大学出身でカウボーイズ(大学のマスコット)だからね。「エル・スペース・カウボーイ」。スペース・カウボーイの頭にエルをつけただけだ。昨季デンバーでの試合に大勢のワイオミングファンが彼の応援のために駆けつけて、俺はその写真を撮ってインスタグラムにあげたんだ。それをファンのひとりに見せたらキャプションを読んで「ラリーのことスペース・カウボーイって呼んでるの?」って言ったんだ。数週間後、移動中のバスでラリーが「おふくろに『スペース・カウボーイ』って呼ばれたよ」って言ってきた。ラリーは最高だ。彼はみんなが思ってるよりもスターになれる選手だと思う。G.I.ジョー風紹介文では「汽車で強盗を働いて、盗んだ武器でそのまま攻撃してくるようなやつ」って書いたんだ。よく西部劇であるだろ?ただラリーの場合はスペース・カウボーイだから宇宙まで行ってそこから攻撃をしかけてくる(笑)。本人が思ってる以上にオフェンスはいいと思う。ルークは彼を上手く生かすよ。サマーリーグの練習でも少し見ることができた。ちょっとした調節で大きく変わるよ。
– J.R.「僕も考えて気に入ってるニックネームがあるんですけど。ラリー・スプリンガー(昼間のテレビ番組の司会者、ジェリー・スプリンガーのもじり。番組の冒頭に観客が「ジェリー!ジェリー!」とコールを送るのが定番)。走る時も足がバネ(スプリング)のようだし、ラスベガスのサマーリーグでは「ラリー!ラリー!」と呼ばれてたのが、まさに「ジェリー・スプリンガー・ショーみたいでした。」
いいね!なかなかだよ。俺に承諾を求めなくても、言ってみてそれに賛同する人が出て来ればそれで成立するんだ。ニックネームに限らず、バスケの用語だってそうだ。チック・ハーンなんてまさにそうだろ。自分の言い方でやってた。詩人で、史上最高のアナウンサーで、マイクを持ったマジシャンだった。我々もみんなチックやヴィン(1950年からドジャーズの実況を務めるヴィン・スカリー。今年で67年目)をを目指してやっている。ちゃんとゲームやレイカーズの球団をリスペクトしていればカラフルな言葉を使うのは全然構わない。レイカーズのファンは俺が見てきた中でも最も素晴らしいファンだ。バスケ以外のスポーツともたくさん関わってきたけどレイカーズ・ファンは最高だ。ヤンキーズやレッドソックスのファンは自分たちが一番だと思ってるかもしれないけど、それは違う。
Nick Young: “Rico Swaggy”
ニック・ヤング「リコ・スワギー」
– J.R.「今までつけたニックネームで一番のお気に入りはありますか?僕は「リコ・スワギー」が好きです」
GQの記事にも引用されたのを見て笑ったよ。リコ・スワヴェがレイカーズにいるとしたらニック・ヤングだからね。オシャレ好きだし。
– J.R.「それで賞ももらいましたよね。サンアントニオでヤングが決めたスリーで勝った試合で「リコ・スワギー」と呼んで、NBAのベスト実況賞?でしたっけ?」
リーグが毎年与える賞で、ベスト・ライブ実況賞。年間行われた実況で良かったものが10選ばれて、同業者のアナウンサーやプロデューサー、レポーターが投票するんだ。言語は関係なくて、特別なインターナショナル枠とかでもなくて、その中で選ばれた。俺とパンチョは2度賞をもらってる。エミー賞ももらったことがある。南カリフォルニア・スポーツキャスター協会からも昨年、ベスト外国語実況賞をいただいて、感謝してるよ。コービーが言うところの「ハードウェア」が増えて光栄だよ。聞いててわかると思うけどこの仕事は大好きだし、マイクを通してそれが伝えるようにしてるつもりだ。ファンと話すのも大好きだ。みんな家族、ファミリアだ。辛い時期も家族で乗り越えることができるし、明るい未来は見えている。ニックネームでちょっとても楽しさを届けることができたら最高だ。今後このノヴェラは見逃せないぞ。
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